マイボトル利用の「その先」へ:洗浄の課題を解決するイノベーション
環境意識の高まりとともに、マイボトルを持ち歩く人は増えました。しかし、「実際に使ってみると、洗うのが面倒」「外出先で衛生的に追加できない」といった声も聞かれます。せっかくのマイボトルも、こうした不満から利用が滞ってしまうのはもったいないですよね。
そんな悩みに応えるべく、象印マホービン株式会社は、日鉄興和不動産株式会社と連携し、不動産分野におけるマイボトルの普及促進に関する協定を締結しました。この取り組みは、単なるマイボトル利用の推奨に留まらず、利用を妨げる「洗浄の手間」という根本的な課題を解決することで、オフィスやホテル、マンションといった多様な場所でマイボトルが当たり前に使われる文化を創出し、循環型社会(サーキュラーエコノミー)の推進を目指すものです。
導入事例:大阪・関西万博での成功とオフィスへの展開
万博モデルが示した確かな実績
象印マホービンが開発した「マイボトル洗浄機」は、2025年大阪・関西万博の特別参加プログラム「Co-Design Challenge」に選定され、会場内に10台が設置されました。

この万博モデルは、会期中に総洗浄回数158,488回を記録し、これにより約12,837kgものCO2削減に貢献しました。この数字は、多くの人がマイボトル洗浄の必要性を感じ、実際に利用した証拠であり、洗浄機がマイボトル利用の促進に大きく寄与することを示しています。万博という大規模イベントでの実績は、その効果とニーズの高さを示す具体的な成功事例と言えるでしょう。
オフィスへの移設で日常に溶け込むマイボトル文化
万博会場で活躍した「マイボトル洗浄機」10台は、会期終了後、別の場所へ移設され活用されることになりました。そのうち1台が、今回協定を締結した日鉄興和不動産の社員食堂に移設され、活用が始まっています。

これにより、日鉄興和不動産の従業員は、いつでも清潔なマイボトルを利用できるようになります。これは、従業員の利便性向上だけでなく、企業が環境問題に積極的に取り組む姿勢を示すものであり、従業員の環境意識向上にも繋がることが期待されます。
導入のメリット・デメリット:企業が知るべきポイント
メリット:環境貢献、従業員満足度、コスト削減
「マイボトル洗浄機」をオフィスに導入することは、企業にとって多岐にわたるメリットをもたらします。
- 環境負荷の低減と企業イメージ向上:プラスチックごみの削減やCO2排出量の抑制に直接貢献し、SDGsへの取り組みを具体的に示すことができます。これにより、環境意識の高い企業としてのブランドイメージを確立し、競争力強化にも繋がります。
- 従業員の満足度と生産性の向上:清潔で便利な洗浄機が利用できることで、従業員は安心してマイボトルを利用できます。外出先で飲み物を購入する手間が省け、時間を有効活用できるため、間接的に生産性向上にも寄与するでしょう。また、福利厚生の一環として、従業員のエンゲージメント向上にも繋がります。
- コスト削減の可能性:従業員が使い捨てのペットボトル飲料を購入する機会が減ることで、企業が提供する飲料関連のコスト(例:ウォーターサーバー利用料、ペットボトル飲料の仕入れなど)を削減できる可能性があります。特に、社内イベントや会議などで使い捨て容器の使用を減らすことで、外注費削減にも繋がるでしょう。
デメリット:初期投資と運用管理
一方で、導入にはいくつかの考慮点もあります。
- 初期導入コスト:洗浄機の購入費用や設置工事費用が発生します。ただし、今回の事例のように、万博からの移設など、既存のものを活用することでコストを抑える方法もあります。
- 運用・メンテナンスの手間:定期的な清掃や消耗品の交換など、運用管理が必要です。しかし、洗浄機が提供する利便性や環境貢献度を考慮すれば、十分に見合う投資と言えるでしょう。
- 設置スペース:洗浄機を設置するスペースの確保が必要です。オフィスレイアウトを検討する際に考慮すべき点となります。
多角的分析:異業種連携と社会実装の価値
今回の象印マホービンと日鉄興和不動産の連携協定は、家電メーカーと不動産会社という異業種が手を取り合い、社会課題解決を目指す画期的な取り組みです。
両社はこれまでも、シェアオフィス「WAW日本橋」でのマイボトル利用促進に向けた実証実験や、赤坂インターシティ内での「Building 2 Bottle」プロジェクトを通じて、オフィスワーカーに向けた環境アクションを推進してきました。
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「マイボトルで未来を変える」共創プロジェクト始動~3社共同で、マイボトルの利用促進に向けた実証実験を開始~: https://www.zojirushi.co.jp/cafe/topics/news/20231221.html
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「赤坂インターシティAIR」マイボトル推進プロジェクトに協力: https://www.zojirushi.co.jp/cafe/topics/news/20240826.html
今回の協定は、これらの実証段階から「社会実装」段階へと移行するものであり、象印マホービンのマイボトル利用促進に関するノウハウと、日鉄興和不動産が持つ不動産アセットや知見が結集されることで、より広範な場所でのマイボトル利用環境整備が加速することが期待されます。これは、単なる製品提供ではなく、ライフスタイルそのものを変革する大きな一歩と言えるでしょう。
日鉄興和不動産が運営する「Future Style総研」も、暮らしや働き方における「新しい価値」の創出を目指しており、今回の連携は同総研の活動理念とも深く合致しています。
- Future Style総研: https://futurestylesoken.jp/
スタートアップが学ぶべきこと:課題解決と段階的アプローチ
この事例から、スタートアップ企業が学べることは数多くあります。
- 潜在ニーズの深掘り:マイボトルが普及しても使われない理由を深掘りし、「洗浄の手間」という具体的な課題を見つけ出した象印マホービンのアプローチは、顧客の潜在的な不満を解決する製品開発のヒントになります。
- 実証実験を通じたデータドリブンな改善:万博での大規模な実証実験は、製品の効果を客観的なデータで示し、次のステップへの説得力を高めます。小さな規模からでも実証を重ね、データを収集する姿勢は重要です。
- 異業種連携によるシナジー:自社単独では難しい社会実装も、他社の強み(不動産アセット、顧客接点など)と組み合わせることで、新たな市場や価値を創造できます。オープンイノベーションの重要性を示唆しています。
- 社会課題解決への長期的な視点:象印マホービンが2006年からマイボトル啓発活動を続けているように、社会課題の解決には一朝一夕ではいかない長期的な視点とコミットメントが必要です。
まとめ:持続可能な社会への一歩を、あなたのオフィスから
マイボトル洗浄機のオフィスへの導入は、環境問題への貢献、従業員満足度の向上、そしてコスト削減という、企業にとって魅力的なメリットを複数提供します。
象印マホービンと日鉄興和不動産の連携は、製品と空間、そして人々の行動を結びつけ、持続可能な社会の実現に向けた具体的なロードマップを示しています。この取り組みは、単なるトレンドではなく、これからの企業活動において不可欠な視点となるでしょう。
あなたのオフィスでも、マイボトル洗浄機の導入を通じて、従業員とともにサステナブルな未来を築いてみませんか?それはきっと、企業の新しい競争力となり、多くの人々の共感を呼ぶはずです。
象印マホービン株式会社: https://www.zojirushi.co.jp/
