複雑な時代に対応する新しいリサーチの形「Systemic × Ethnography」
気候変動、国際情勢、テクノロジーの急速な進化など、私たちの社会はかつてないほど複雑さを増しています。企業を取り巻く環境もまた、予測困難な「複雑な課題(Wicked Problems)」に直面しており、これまでの課題発見やアイデア創出の手法だけでは、その本質を捉えきることが難しくなっています。
このような背景の中、株式会社ACTANTと合同会社メッシュワークは、システム思考の「俯瞰力」と人類学的エスノグラフィーの「探索力」を統合した新しいデザインリサーチプログラム「Systemic × Ethnography」を共同開発しました。このプログラムは、単なる表面的な事象に留まらず、社会構造の全体像と現場の生きたリアリティを同時に深く理解することで、企業の持続的な成長と社会貢献を両立させることを目指します。

なぜ今、「Systemic × Ethnography」が必要なのか?
多くの企業が直面する課題は、もはや単一の原因で説明できるものではありません。従来の定性調査やUXリサーチでは、個別のユーザー体験は捉えられても、それがどのような社会構造の中で生じているのか、その根深い要因まで掘り下げることは困難でした。結果として、部分最適に陥り、一時的な解決策に留まってしまうケースも少なくありません。
このプログラムが解決できる具体的な課題
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定性調査の限界: ユーザーの声は聞けても、その背景にある複雑な人間関係や社会システムまで読み解けない。
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部分最適の罠: 個別の課題解決にとらわれ、全体的な構造的要因や長期的な影響を見落としてしまう。
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認識の固定化: 企業内の既存の視点や前提に縛られ、新たな発想や価値観を取り入れられない。
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持続的な戦略構築の難しさ: 社会価値と経済価値を両立させる、長期的な視点での介入戦略を描けない。
「Systemic × Ethnography」は、これらの課題に対し、より広く、さらに深くリサーチすることで、企業が抱える問題の本質を捉え、生産性向上、競争力強化、そして場合によっては外注費削減にも繋がるような、根本的な解決策を見出す手助けとなります。
「Systemic × Ethnography」の3つの特徴
このプログラムは、システム思考と人類学的エスノグラフィーの強みを掛け合わせることで、以下3つのユニークな特徴を提供します。
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ありのままを深く理解する:人類学的エスノグラフィー
自らの先入観を最小限にし、対象者の生活世界に深く入り込むフィールドワークを実施します。これにより、当事者の経験、感情、文脈といったリアリティを丁寧に描き出し、データだけでは見えない「生きた情報」を抽出します。 -
広く社会構造の中で捉え直す:システミックデザイン
個人の体験やユーザー像に留まらず、技術、組織、制度、文化といった広範な社会構造の中にテーマや課題を位置づけ、包括的に捉え直します。これにより、個別の事象がどのように全体システムと連動しているかを可視化し、本質的な構造的要因を発見します。
この図が示すように、「パーソナルストーリー」から「パーソナルシステムマップ」へ、そして「ソーシャルシステムマップ」へと視点を広げ、それぞれのレイヤーを行き来することで、より深い洞察を得ることができます。 -
自身の視点を拡張する
異なる価値観や生活世界に直接触れる体験は、参加者自身の既存の前提に揺さぶりをかけ、日常業務における判断や発想の枠組みを大きく拡張します。これにより、固定観念から解放され、より多角的で柔軟な思考が可能になります。
例えば、この医療システムマップのように、複雑な要素間のつながりを視覚化することで、新たな発見が生まれるでしょう。
プログラムの具体的な進め方
「Systemic × Ethnography」は、通常4ヶ月から半年の期間で実施される集中的なプログラムです。具体的なプロセスは以下の通りです。
- システムの特定: 社内チームを編成し、リサーチのテーマに基づいて対象とするシステムを決定。フィールドの検討やリクルーティングを進めます。
- 人類学的フィールドワーク: 対象者だけでなく、その周囲の家族やコミュニティなど社会関係全体を丁寧に掘り起こし、現場の生々しい状況に深く向き合います。
- 社会構造の可視化: フィールドワークで得られた知見を基にシステムマップを作成。複雑な状況を客観的に議論するための共通認識を築きます。
- 長期的な可能性の探索: フィールドとマップを行き来しながら、参加者自身の価値観やテーマをアップデート。社会と経済にインパクトを創出するための具体的なヒントやアクションを探ります。

導入後のメリットと多角的分析
このプログラムを導入することで、企業は様々なメリットを享受できます。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、いくつかの注意点も理解しておくことが重要です。
メリット
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深い洞察による競争力強化: 従来の調査では見落とされがちな人間のリアリティ(生活、関係性、感情)や構造的・長期的要因を把握することで、競合他社にはない独自の視点から製品・サービス開発や戦略立案が可能となり、結果的に競争力の強化に繋がります。
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持続可能なイノベーションの創出: 部分最適ではない全体システムを理解することで、社会価値と経済価値を両立させる持続的な介入戦略を構築できます。これは、短期的な利益だけでなく、長期的な企業価値向上に貢献します。
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組織全体の生産性向上と外注費削減: リサーチ担当者自身の認識が変容し、自社で複雑な課題を深く分析し、本質的な解決策を導き出す能力が向上します。これにより、外部コンサルティングへの依存度を減らし、長期的な視点で見れば外注費の削減や、より質の高い社内意思決定による生産性向上に繋がるでしょう。
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人材育成と企業変革: 想定外のリアリティに没入する体験は、参加者の思考の枠組みを拡張し、リーダーシップや問題解決能力の向上に貢献します。これは、組織全体の企業変革を推進する重要な一歩となります。
デメリット・注意点(多角的分析)
「Systemic × Ethnography」は強力なプログラムですが、導入を検討する際には以下の点も考慮が必要です。
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時間とリソースの投資: 4ヶ月から半年にわたるプログラムは、それなりの時間とリソースのコミットメントを要します。短期間での即効性を期待するのではなく、中長期的な視点での変革を目指す覚悟が必要です。
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組織内の理解と協力: フィールドワークには、対象者だけでなく、社内関係部署との連携も不可欠です。プログラムの目的と価値について、組織全体での理解と協力体制を築くことが成功の鍵となります。
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成果の測定: 従来の定量的な指標だけでは捉えにくい、認識変容や視点拡張といった質的な成果をどのように評価するかが課題となる場合があります。プログラムの初期段階で、具体的な評価指標を検討することが推奨されます。
これらの点を踏まえ、自社の状況と目標に照らし合わせながら、慎重に導入を検討することが、プログラムの成功に繋がるでしょう。
どんな企業・部門におすすめ?(スタートアップが学べること)
このプログラムは、以下のような課題意識を持つ企業や部門に特に推奨されます。スタートアップ企業にとっても、市場の深層を理解し、持続可能なビジネスモデルを構築するための強力な武器となるでしょう。
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定性調査やUXリサーチに限界を感じているマーケティング担当者: 顧客の「なぜ?」をより深く理解し、本質的なニーズを捉えたいと考えている方。
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地域課題・環境課題など、一筋縄ではいかないテーマに取り組む事業開発担当者: 複雑な社会課題に対して、多角的な視点から持続可能な事業を創出したい方。
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社会価値と企業成長の両立を模索している経営層・リーダー: CSV(共通価値の創造)やSDGsへの貢献を、単なるCSR活動に終わらせず、事業成長に結びつけたいと考えている方。
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中長期的な戦略構築を必要とするR&D部門・企画部門: 未来の市場や社会の変化を見据え、先見性のある研究開発テーマや事業計画を策定したい方。
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デザイン思考やリサーチ研修を強化したい人事・人材開発担当者: 社員の思考力や問題解決能力を高め、企業全体のイノベーション文化を醸成したい方。
まとめ
「Systemic × Ethnography」は、複雑な現代社会において、企業が直面する課題の本質を捉え、持続可能な成長を実現するための画期的なデザインリサーチプログラムです。システム思考による俯瞰的な視点と人類学的エスノグラフィーによる深い探索力を融合することで、これまでのリサーチでは得られなかった新たな洞察と、認識変容を促します。
このプログラムは、単なるリサーチ手法の提供に留まらず、企業の組織文化や個人の思考様式にまで変革をもたらす可能性を秘めています。ぜひ、この機会にACTANTとメッシュワークが共同開発した「Systemic × Ethnography」を通じて、貴社のビジネスにおける新たな可能性を拓いてみてはいかがでしょうか。
具体的なプログラム内容や導入に関するお問い合わせ、または導入事例の詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。
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株式会社ACTANT: https://actant.jp
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合同会社メッシュワーク: https://meshwork.jp
