九州産業大学の挑戦:3D-CADとAIがもたらす「実務直結」の教育効果
この特別講義は、2025年12月4日から12月25日まで実施されました。学生たちは3人1組のチームとなり、住宅設計の実務で活用されている3D-住宅CAD「Walk in home」と、建築生成AI「タノモシカ」を使いこなす実践的なプログラムを体験。
プランニングから3D化、AIによる表現補助、最終プレゼンテーションまでを一貫して行い、限られた時間の中で住宅設計の全プロセスを経験しました。

学生アンケートから見えた5つの驚くべき教育効果(導入メリット)
講義を終えた学生へのアンケート結果からは、最新のデジタルツールが設計スキルの習得や実務意識の醸成に、いかに多角的な効果をもたらしたかが明らかになりました。
1. 短期間でアイデアを形に!「できた!」の成功体験が自信に繋がる
直感的な操作が可能な3D-CADとAIを組み合わせることで、学生たちは短期間で自身のアイデアを形にすることができました。これにより、「自分にもできる」という成功体験が生まれ、設計に対する意欲と自信が大きく向上したと言います。これは、生産性向上や学習効率向上に直結する大きなメリットと言えるでしょう。
2. 図面から「暮らし」へ。3D可視化で空間把握能力が劇的に向上
3Dモデリングによって、学生たちは天井高や動線、家具配置などを体感的に理解しながら設計を進めることができました。「図面上の数字ではなく、実際の暮らしを想像しながら考える力が養われた」という声が多く、平面図中心の学習では得られにくい、深い空間把握能力の向上が見られました。

3. デザインと安全性の両立へ。構造・性能を意識した「実務的視点」の芽生え
意匠デザインだけでなく、耐震性や断熱性能を数値で確認しながら設計を進めた結果、多くの学生に「安全性とデザインを両立させる」という実務的な視点が芽生えました。根拠ある設計の重要性を学ぶ機会となり、これは将来的に設計ミスを減少させ、高付加価値な提案に繋がることで、コスト削減や競争力強化に貢献する可能性を秘めています。


4. AIは「思考のパートナー」。発想力・表現力を拡張し、言語化の重要性を学ぶ
AIを単なる自動化ツールとしてではなく、アイデア発想の補助や表現を洗練させる道具として活用することで、学生たちは「設計意図を言語化する力」の重要性に気づきました。AIを効果的に活用するためには、自分の考えを明確に伝える必要があるため、この気づきは発想力と表現力の両方に良い影響を与えます。AIを使いこなすことで、外注費削減や生産性向上にも繋がるでしょう。
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「AIは何をどう見せたいかを明確に指示することで力を発揮するツールだと分かった」
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「AIを使うことで、自分の設計意図を言語化する重要性に気づいた」
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「AIは考えを整理し、表現を洗練させるための道具だと理解できた」


5. 一人じゃないから強い!チーム設計で培う「協働スキル」
3人1組のグループワークは、役割分担、意見共有、合意形成、時間管理といった、実務で不可欠な協働スキルを体験的に学ぶ機会を提供しました。「設計は個人作業ではなく、対話と共有によって完成度が高まるものだと理解できた」という声は、現代の複雑なプロジェクトにおいて求められるチームワークの重要性を物語っています。


スタートアップが学べること:DX推進と人材育成のヒント
今回の産学連携の取り組みは、スタートアップ企業にとっても多くの示唆を与えてくれます。
- 最新技術導入による競争優位性: 3D-CADやAIといった最新ツールを早期に導入し、使いこなすことで、設計効率を大幅に向上させ、市場での競争優位性を確立できるでしょう。
- 産学連携の可能性: 大学との連携は、R&D(研究開発)の機会だけでなく、未来の優秀な人材との接点を持つブランディングの機会にもなります。
- 教育プログラムへの投資: 社内教育プログラムにデジタルツールを積極的に取り入れることで、若手社員の即戦力化を促進し、長期的な人材育成コストの削減に繋がります。
- 小規模でもDXを: 大規模な投資が難しいスタートアップでも、クラウドベースのCADやAIツールを活用することで、生産性向上や外注費削減を実現し、コストを抑えながらDXを推進できる可能性があります。
導入後のメリット・デメリット(多角的分析)
メリット
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学習曲線の短縮と即戦力化: 最新ツールに慣れることで、実務への移行がスムーズになり、新卒や若手社員の即戦力化が期待できます。
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設計品質の向上: 3D可視化や性能評価の統合により、設計段階での課題発見が容易になり、品質の高い住宅設計が可能になります。
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顧客への提案力強化: リアルな3Dパースやシミュレーションを通じて、顧客は完成イメージをより具体的に把握でき、高い納得感を持って契約に繋げやすくなるでしょう。
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教育機関と実務のギャップ解消: 大学で実務に直結するツールを学ぶことで、卒業後のミスマッチが減り、企業側も採用後の研修コストを削減できる可能性があります。
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生産性向上とコスト削減: 設計プロセスの効率化、ミスの削減、AIによる補助は、全体的な生産性向上と外注費を含むコスト削減に大きく貢献します。
デメリット(懸念点)
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初期投資と学習コスト: ツール導入には初期費用がかかり、新しい操作を覚えるための時間と労力が必要になります。しかし、長期的な視点で見ればその価値は大きいでしょう。
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AIへの過度な依存: AIは強力なツールですが、思考停止に陥り、創造性や批判的思考が育たないリスクも考えられます。学生は「設計意図を言語化する力」の重要性に気づいたように、AIをあくまで補助ツールとして活用するバランス感覚が求められます。
まとめ:建築業界の未来を切り拓く、実践的教育モデル
今回の九州産業大学での特別講義は、大学教育と社会とのギャップを縮め、学生が将来の進路をより具体的に描く「キャリア教育」としても高い効果を発揮しました。企業が現場で使用しているツールやワークフローを体験することで、学生は自身の適性や今後の課題を客観的に捉え直す貴重な機会を得たと言えるでしょう。
安心計画株式会社は、今後もテクノロジーを活用した実践的な学習機会を継続的に提供することで、次世代の建築業界を牽引する人材の育成を支援していくとのことです。
この取り組みは、建築業界のDXを加速させ、生産性向上、コスト削減、競争力強化を実現するための新たな教育モデルとして、全国の教育機関や企業にとっても大きなヒントとなるはずです。
関連情報
住宅プラン一般投票コンテスト開催中!
本授業で学生が3D-CADとAIを駆使して作成した住宅プランの一般投票コンテストが開催されています。未来の建築家の卵たちの力作をぜひご覧ください。
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投票期間:2025年12月26日(金) 〜 2026年1月31日(土)
安心計画株式会社の概要
1988年設立の、建築業界に特化したプレゼンシステムの専門企業。2023年6月、株式会社DTSグループに参画。最先端IT技術と長年培った営業力・サポート力を活かし、革新的なソリューションを提供しています。
株式会社Lib Workの概要
1997年設立。戸建住宅事業、プラットフォーム事業、3Dプリンター住宅事業を展開しています。
株式会社DTSの概要
総合力を備えたトータルシステムインテグレーター(Total SIer)。金融、情報通信、製造、公共、建築分野向けに、コンサルティングからシステム開発、基盤構築・運用までをワンストップで提供します。
