熊本高専KOSEN-ATネットワークが内閣府特命担当大臣奨励賞を受賞
2026年1月15日、熊本高等専門学校(熊本高専)人間情報システム工学科の清田公保教授が代表を務めるKOSEN-ATネットワークが、「令和7年度バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰」において、内閣府特命担当大臣奨励賞を受賞しました。この表彰は、バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進に顕著な功績を挙げた個人や団体に贈られるもので、KOSEN-ATネットワークの長年にわたる貢献が高く評価された形です。

KOSEN-ATネットワークとは?地域課題解決への挑戦
KOSEN-ATネットワークは、2013年9月に熊本高専が主催した福祉情報教育フォーラムをきっかけに発足した「全国KOSEN福祉情報教育ネットワーク」を母体としています。以来、特別支援教育におけるDX化への対応として、ICT機器やアプリの教育教材モノづくりを主体とする研究開発を進めてきました。
このネットワークは、国立高専機構の次世代の高度技術者人財育成事業「GEAR5.0/COMPASS5.0」における介護・医工分野の中核を担っています。函館、仙台、長野、富山、徳山、新居浜、熊本の7つの高専が連携し、地域の特別支援教育に活用できる支援機器の開発に注力しています。この全国的な活動が、高専の地域におけるバリアフリー・ユニバーサルデザイン推進への貢献として高く評価されたのです。

導入事例と成功の秘訣:地域に根差した支援技術
KOSEN-ATネットワークの活動は、まさに地域社会の具体的な課題解決を目指すものです。例えば、以下のような取り組みが挙げられます。
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特別支援教育のDX化推進: ICT機器やアプリを活用し、教育現場のデジタル変革を支援。これにより、教育の質が向上し、教員の生産性向上にも貢献しています。
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支援機器の開発と社会実装: 地域のニーズに応じたアシスティブテクノロジー(AT)の開発を進め、実際に必要とする人々に届ける取り組み。これにより、障がいを持つ人々の生活の質(QOL)向上に直結し、地域全体の福祉コスト削減にも繋がります。
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高専間の連携による知見の共有: 全国の高専が協力することで、個々の高専だけでは成し得ない規模の研究開発や社会実装が可能になります。これにより、開発期間の短縮や外注費削減といった効果も期待できます。



スタートアップが学べること
KOSEN-ATネットワークの取り組みからは、スタートアップ企業にとっても多くの示唆が得られます。
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明確な社会課題へのフォーカス: 障がい者支援や地域医療・福祉といった、具体的な社会課題に焦点を当てることで、共感を呼び、持続可能なビジネスモデルを構築できます。
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産学連携の重要性: 高専という教育機関との連携は、最新技術の研究開発だけでなく、将来を担う人材の確保にも繋がります。大学や研究機関との協力は、スタートアップの競争力強化に不可欠です。
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先端技術の活用: AIやIoT、XRといったデジタル技術を支援技術(AT)と融合させることで、これまでにない革新的なソリューションを生み出す可能性を秘めています。
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地域密着型のアプローチ: 地域ごとのニーズを深く理解し、それに応じたカスタマイズされたソリューションを提供することで、強い顧客基盤を築くことができます。

多角的分析:導入のメリット・デメリット
メリット
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共生社会の実現: 支援技術の普及により、障がいを持つ人々の社会参加が促進され、誰もが暮らしやすい社会が実現に近づきます。
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地域医療・福祉の持続可能性向上: 高齢化が進む地域において、テクノロジーによる支援は、限られたリソースでの医療・福祉サービスの提供を可能にし、持続可能性を高めます。
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高度技術者の育成: 高専生が実践的な支援技術開発に携わることで、Society 5.0時代に求められるAIと他分野を融合できる高度な技術者が育ちます。これは将来的な労働力不足の解消や、新たな産業創出に繋がる人財強化となります。
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生産性向上とコスト削減: DX化された支援ツールは、介護現場や教育現場の業務効率を大幅に向上させ、長期的に見て人件費や運営コストの削減に貢献します。また、自校での開発は外注費削減にも繋がるでしょう。
デメリット(課題)
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技術開発の継続性: 新しい技術が次々と登場する中で、常に最新の支援技術を開発し続けるためのリソース(人材、資金)確保が課題となります。
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普及啓発の難しさ: 開発された優れた支援技術も、その存在が知られなければ意味がありません。ターゲットとなる利用者や関係機関への効果的な情報発信と普及活動が求められます。
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資金調達の必要性: 研究開発や社会実装には継続的な資金が必要です。公的支援だけでなく、企業との連携やクラウドファンディングなど、多様な資金調達手段を検討する必要があります。
未来を拓くKOSEN-ATの展望
KOSEN-ATネットワークは、「持続可能な地域医療・福祉を支えるAT-HUB構想とAT技術者育成による共生社会の実現」を事業テーマとして掲げています。地域密着・課題解決・社会実装という高専の特長を活かしつつ、AIと他分野を融合して活用することで、必要なものやサービスが必要な人に、必要なだけ届くSociety 5.0時代の中核となる人材を育成していく方針です。

KOSEN-AT 共生社会と支援技術:
https://www.kosen-at.com/
この取り組みは、単なる技術開発に留まらず、教育機関が社会課題に深くコミットし、未来の人材を育成しながら、地域全体の福祉と経済に貢献するモデルケースとなるでしょう。熊本高等専門学校も、2026年度から教育体制を強化し、高度情報専門人材の育成に力を入れる予定です。
まとめ:誰もが輝ける社会を目指して
KOSEN-ATネットワークの受賞は、支援技術の可能性と、それを支える教育機関の重要な役割を改めて浮き彫りにしました。技術の力で社会のバリアを取り除き、誰もが自分らしく生きられる共生社会を目指す彼らの挑戦は、多くの人々に希望を与えます。
もしあなたが、地域課題の解決や、テクノロジーを活用した社会貢献に関心があるなら、KOSEN-ATネットワークの活動はきっと大きなヒントを与えてくれるはずです。未来を担う技術者たちが、地域と連携し、社会をより良く変えていく姿に、私たちも期待を寄せたいですね。
