肝臓の異変、気づいていますか?見過ごされがちな「沈黙の臓器」のSOS
「肝臓は沈黙の臓器」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?肝臓病は、自覚症状がほとんどなく進行するため、気づいた時にはかなり深刻な状態になっていることも少なくありません。特に近年、非ウイルス性肝疾患が原因の肝硬変や肝がんが増加傾向にあり、その背景には「脂肪肝」そして「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)/MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)」の存在があります。
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社と株式会社QLifeは、全国に先駆けて肝疾患重症化予防対策に取り組む静岡県で、脂肪肝とMASLD/MASHに関する認知度調査を実施しました。この調査結果は、私たちの健康意識と、実際の行動との間に大きなギャップがあることを浮き彫りにしています。もしあなたが「健康診断で肝機能の数値が少し高かったけど、特に症状はないから大丈夫」と考えているなら、ぜひこの記事を読んで、肝臓の健康について改めて考えてみてください。
静岡県民調査で浮き彫りになった深刻な認知度ギャップ
今回の調査は、静岡県在住の30~70代の男女2,000人を対象にWebアンケート形式で実施されました。その結果、脂肪肝の認知度が約84.2%と高い一方で、MASLD/MASHの認知度は約17.5%と、わずか5分の1程度に留まることが明らかになりました。

図1:脂肪肝およびMASLD/MASHの認知度
このデータは、多くの方が脂肪肝という言葉は知っていても、その先に潜むより深刻な疾患であるMASLD/MASHについてはほとんど知らない現状を示しています。MASLD/MASHは、放置すると肝硬変や肝がんへと進行する可能性があり、適切な管理が不可欠な病気です。この認知度の低さは、早期発見・早期治療の大きな妨げとなっていると言えるでしょう。
「脂肪肝」と指摘されても受診しない?健康意識と行動のギャップ
脂肪肝は「沈黙の臓器」である肝臓の病気であるため、自覚症状がほとんどなく、深刻な状態になるまで自身では気づきにくいという特徴があります。調査では、全体の過半数が脂肪肝のリスクを「知っている」と回答しましたが、その一方で、実際に脂肪肝と指摘された人(177人)の約32.2%が「受診していない、受診する予定はない」と回答していました。

図2-1:肝臓や脂肪肝の知識

図2-2:脂肪肝と指摘を受けて、医療機関を受診しようと思いましたか。
この結果は、「知っている」ことと「行動する」ことの間に大きな隔たりがあることを示唆しています。脂肪肝の指摘を受けても受診につながらない状況は、病状の進行を許してしまうリスクを高めます。自身の健康を守るためには、知識だけでなく、具体的な行動が重要です。
肝機能検査値、あなたはいくつ知っていますか?早期発見の鍵となる知識の不足
医療機関の受診を検討するきっかけとして、約46.3%が「健康診断で肝機能の値が基準を超えたとき」と回答しました。しかし、知っている肝機能の検査値については、「知っているものはない」が約44.9%と最も多く、「γ-GTP」が約38.5%、「ALT(GPT)」が約28.2%に留まりました。特に、肝線維化の進行度合いを示す「FIB-4 index」については、わずか約1.1%しか認知されていませんでした。

図3-1:ご自身の肝臓に関して、医療機関を受診してみようと思うきっかけとなる出来事を教えてください。

図3-2:肝機能の検査値について、知っているものを教えてください。
さらに、ALT値が30を超えている場合に医療機関の受診が推奨されていることを「知っている」と回答した人は、わずか14.5%でした。

図3-3:ALTが30を超えている場合は医療機関の受診が推奨されていることを知っていますか。
肝機能の検査値が異常を示した際に、その意味を正しく理解し、適切な受診行動につなげることが、肝疾患の早期発見・早期治療には不可欠です。健康診断の結果を「異常なし」だけで終わらせず、具体的な数値とその意味に関心を持つことが、肝臓を守る上でとても大切になります。
MASLD/MASHとは?知っておきたい「新しい」肝疾患
MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)は、肝臓に脂肪が多く蓄積した「脂肪肝」のうち、アルコール性や薬物性など特定の原因を除いたものを指します。このMASLDが進行し、肝臓に炎症や肝線維化が起きた状態がMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)です。以前はNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)やNASH(非アルコール性脂肪肝炎)と呼ばれていましたが、疾患の代謝的性質をより正確に反映するため、名称が変更されました。
MASHは肝臓に影響を及ぼす慢性的な進行性の代謝性疾患であり、適切に管理しないと死に至る可能性もあります。過体重または肥満の人々のうち、3人に1人以上がMASHも有していると言われています。肝臓に過剰な脂肪が蓄積すると、時間の経過とともに炎症や重度の瘢痕(肝線維化)を引き起こすおそれがあります。さらに、海外の報告では、心血管疾患がMASHのある人の主な死亡原因であり、肝線維化が進行すると心血管疾患による死亡リスクが約4倍高まることも指摘されています。
MASLDは、脂肪肝があり、以下の5つの心代謝系危険因子のうち少なくとも1つをもつ状態を指します。
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BMI≧23(アジア人)もしくは腹囲女性>80cm、男性>94cm
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空腹時血糖≧100mg/dL、ブドウ糖負荷2時間後血糖≧140mg/dL、HbA1c≧5.7%、2型糖尿病、もしくは2型糖尿病薬の使用
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血圧≧130/85mmHg、もしくは降圧剤の使用
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中性脂肪≧150mg/dL、もしくは脂質改善薬の使用
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低HDLコレステロール血症(女性≦50mg/dL、男性≦40mg/dL)
MASHは初期段階では特異的な症状がほとんどないため、診断が遅れることが多くあります。だからこそ、健康診断の結果に注意を払い、肝機能値の異常があれば、たとえ自覚症状がなくても医療機関を受診することが非常に重要なのです。
早期発見・早期治療がもたらすメリットと放置するデメリット
肝臓病、特にMASLD/MASHのような進行性の疾患において、早期発見と早期治療は計り知れないメリットをもたらします。
メリット
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重症化予防: 肝硬変や肝がんへの進行を防ぎ、肝臓の機能を維持できます。
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健康寿命の延伸: 肝臓病以外の合併症(心血管疾患など)のリスクも低減し、健康で活動的な生活を長く送ることができます。
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生活の質の向上: 自覚症状が少ないとはいえ、進行すれば倦怠感などの症状が現れることも。早期治療は、そうした不快な症状を避け、日々の生活の質を高めます。
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医療費の削減: 重症化すればするほど、治療には高度な医療や高額な費用がかかります。早期に対処することで、長期的な医療費の負担を軽減できる可能性があります。
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社会全体の生産性向上: 個人の健康が守られることは、社会全体の活力向上や生産性向上にもつながります。
デメリット
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肝硬変・肝がんへの進行: 放置すれば、命に関わる重篤な肝疾患へと進行するリスクが高まります。
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心血管疾患リスクの増加: MASHは心血管疾患の主要な死亡原因の一つであり、肝線維化の進行とともにそのリスクはさらに高まります。
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QOL(生活の質)の低下: 進行した肝臓病は、全身倦怠感や腹水、黄疸など様々な症状を引き起こし、日常生活に大きな支障をきたします。
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高額な医療費: 進行した肝臓病の治療は、入院や手術、継続的な薬物療法など、多大な医療費を必要とします。
疾患啓発の重要性:ノボ ノルディスク ファーマとQLifeの取り組み
今回の調査結果を受けて、ノボ ノルディスク ファーマとQLifeは、脂肪肝およびMASLD/MASHに関する正しい知識の普及啓発に積極的に取り組むとしています。
ノボ ノルディスク ファーマは、糖尿病領域で培った知識と経験を活かし、肥満症や2型糖尿病における専門知識をMASH領域に応用。治療法の確立されていないMASHに対する取り組みを開始し、多くの人々に貢献する新たな機会として、MASLD/MASHの診断・管理および認知向上のための啓発活動を推進しています。同社は2025年3月21日に静岡県と「静岡県及びノボ ノルディスク ファーマによる肝疾患重症化予防対策に関する連携協定」を締結しており、両者の知見やデータを活用し、肝疾患重症化予防対策体制の構築と県民の健康増進を目指しています。
株式会社QLifeは、今回の調査を含め、ノボ ノルディスク ファーマのMASLD/MASHに関する疾患啓発の取り組みに協力し、本疾患の認知向上に貢献していくとのことです。
このような取り組みは、個人の健康意識向上だけでなく、社会全体の健康レベルの底上げにも寄与します。病気の早期発見・早期治療が進むことで、医療費の適正化や、健康な労働力の維持による生産性向上といった、経済的なメリットも期待できるでしょう。
まとめ:あなたの健康を守る第一歩
今回の静岡県での調査結果は、多くの人が脂肪肝のリスクを認識している一方で、その先の深刻な肝疾患であるMASLD/MASHについてはほとんど知らず、また脂肪肝と指摘されても医療機関を受診しないケースが多いという、残念な現状を浮き彫りにしました。
あなたの健康を守るためには、まず「知る」こと、そして「行動する」ことが大切です。健康診断を毎年受診し、肝機能検査値に異常がないか確認する。もし異常があれば、たとえ自覚症状がなくても、すぐに専門医に相談することをおすすめします。そうすることで、肝臓病の重症化を防ぎ、健康で充実した人生を送るための大きな一歩を踏み出すことができるはずです。
関連情報・参考リンク
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ノボ ノルディスク ファーマ株式会社: www.novonordisk.co.jp
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株式会社QLife: https://www.qlife.co.jp
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ノボ ノルディスク ファーマと静岡県の連携協定詳細 (PDF): https://www.novonordisk.co.jp/content/dam/nncorp/jp/ja/news/media/2025/03/25-09.pdf
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National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases: https://www.niddk.nih.gov/health-information/liver-disease/nafld-nash/definition-facts
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Verywell Health: https://www.verywellhealth.com/non-alcoholic-steatohepatitis-nash-5196357
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World Health Organization: https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/obesity-and-overweight
