持続可能な未来へ、国際的な知の連携が加速
「地球の未来のために、私たちに何ができるだろう?」
この問いは、SDGs(持続可能な開発目標)が掲げられて以来、世界中の人々が真剣に向き合っている課題です。2025年12月8日から11日の4日間、国立大学法人岡山大学が協力し、新潟大学が主催した「Japan-ASEAN Online Program toward SDGs 2025」がオンラインで開催されました。
このプログラムは、AUN(ASEAN University Network)加盟大学と国立六大学(千葉大学、新潟大学、金沢大学、岡山大学、長崎大学、熊本大学)から37名の学生が参加し、「The Nexus Analysis of Sustainability Issues(持続可能性に関する課題のネクサス分析)」をテーマに、SDGsに対する包括的アプローチの重要性を学びました。定員50人に対し、なんと478人もの参加申し込みがあったことからも、このテーマへの関心の高さがうかがえます。

参加者の声から見つける「悩み解決」のヒント
プログラムに参加した岡山大学農学部3年生の官澤明日香さんは、自身の経験を次のように語っています。
「私がこのプログラムに参加したきっかけは、募集のチラシにあった『nexus analysis(つながりの分析)』について学べるという内容に興味を持ったからです。SDGsの問題は一国で解決できるようなものはほとんどなく、世界の国々と協力して解決策を考えていかなければなりません。」
この言葉は、SDGs課題が複雑に絡み合い、一国だけでは解決が難しいという共通の悩みを浮き彫りにしています。しかし、このプログラムでは、多様な文化的背景を持つ学生たちが互いの視点を共有し、具体的な解決策を共に考えることで、その悩みに真正面から向き合いました。
例えば、官澤さんのグループは食品ロスの問題について議論しましたが、7つのグループ中3つが同じテーマを選んだことから、この問題が世界的に高い関心を集めていることがわかります。異なる視点からの意見交換は、参加学生にとって大きな刺激と励みになったことでしょう。

「ネクサス分析」とは?多角的アプローチでSDGs課題に挑む
本プログラムの核となったのが「ネクサス分析」です。これは、国連大学物質フラックス・資源統合管理研究所(UNU-FLORES)が考案した概念的枠組みで、世界的な課題が持つ相関性を考慮しながら、それぞれの課題解決を目指す方法を指します。ラテン語で「関係」を意味する「ネクサス」が示す通り、環境、経済、社会といった多岐にわたる側面が互いに影響し合っていることを理解し、包括的にアプローチすることの重要性を説いています。

プログラムでは、新潟大学佐渡自然共生科学センターの豊田光世教授による講義とファシリテーションのもと、学生たちはグループに分かれ、フードロスの削減、プラスチックの削減、水資源確保と災害レジリエンス対策、スマート環境モニタリングシステムの構築といった具体的なテーマについて、アイデアを出し合いました。岡山大学からは、学術研究院共通教育・グローバル領域の稲森岳央准教授とハルミルザエヴァ・サイダ准教授が協力教員として学生たちのグループワークをサポートしました。

導入事例:国際連携プログラムの成功体験
AUNと国立六大学は、2013年にパートナーシップ協定を締結して以来、サマープログラムによる学生交流など、活発な交流を継続しています。今回のオンラインプログラムもその一環であり、異なる国や地域の学生たちが協力し、SDGsという共通の目標に向かって議論を深める貴重な機会となりました。最終日には、各グループが課題解決のためのアクションプランを発表し、多様なアイデアを共有しました。
この成功は、国際的な連携が、教育・研究の高度化だけでなく、グローバル社会をリードする人材育成にも繋がることを示しています。特に、定員を大幅に超える応募があったことは、学生たちの間でSDGsと国際交流に対する高いモチベーションがあることの証拠と言えるでしょう。

スタートアップが学べること、導入後のメリット・デメリット
この国際連携プログラムから、スタートアップ企業や新たな取り組みを検討している組織は多くの示唆を得られます。
導入後のメリット
- 多様な視点からの課題解決アプローチ: 異文化・異分野の知見を融合する「ネクサス分析」のアプローチは、複雑な社会課題をビジネスチャンスと捉えるスタートアップにとって非常に有効です。多様なステークホルダーの視点を取り入れることで、より包括的で持続可能なソリューションを生み出すことができます。
- SDGsへの貢献と企業価値向上: 社会課題解決へのコミットメントは、企業のブランドイメージを向上させ、消費者や投資家からの信頼獲得に繋がります。SDGsへの取り組みを明確にすることで、競争力強化や新たな市場開拓の可能性が広がります。
- 若手人材育成とネットワーキング: 次世代を担う学生たちとの交流は、彼らの柔軟な発想や情熱に触れる機会となります。将来のリーダーとなる若手人材とのネットワーキングは、採用活動や共同プロジェクトへの発展も期待できます。
- 国際市場への理解深化: ASEAN諸国の学生との議論は、各地域の文化、社会、経済状況への理解を深める絶好の機会です。これにより、国際展開を視野に入れているスタートアップは、より具体的な戦略を立てやすくなるでしょう。
導入後のデメリット・課題
- オンラインコミュニケーションの難しさ: 異なる文化的背景を持つ参加者とのオンラインでの議論は、時に誤解を生んだり、コミュニケーションに時間がかかったりする可能性があります。円滑な議論のためには、ファシリテーションのスキルやツールの活用が重要です。
- 短期間での具体的な成果創出の難しさ: 短期間のプログラムで具体的なビジネス成果に直結するソリューションを生み出すのは容易ではありません。プログラム終了後の継続的なフォローアップや、長期的な視点での関係構築が求められます。
- リソース確保の課題: 国際的なプログラムの運営には、企画、広報、参加者サポート、技術支援など、多岐にわたるリソースが必要です。特にスタートアップにとっては、限られたリソースの中で効率的な運営体制を構築することが課題となります。
まとめ:持続可能な社会への一歩を、あなたも
「Japan-ASEAN Online Program toward SDGs 2025」は、SDGs達成に向けた国際的な連携と、次世代を担う若者たちの熱意を示す素晴らしい事例となりました。このプログラムが示したのは、SDGsの課題解決が単なる社会貢献に留まらず、生産性向上、コスト削減、競争力強化といったビジネス上のメリットにも繋がるという可能性です。
例えば、フードロス削減は、食料廃棄によるコストを削減し、サプライチェーン全体の効率化に貢献します。プラスチック削減は、環境負荷軽減だけでなく、新たな素材開発やリサイクルビジネスの創出にも繋がります。これらの取り組みは、外注費削減や新たな収益源の確保といった具体的な成果をもたらし、企業の持続的な成長を後押しするでしょう。

国際的な視点と「ネクサス分析」のような包括的なアプローチを取り入れることで、私たちはより良い未来を共創できるはずです。あなたのビジネスや活動が、この持続可能な社会への大きな一歩となることを願っています。
