未来を照らすクリーンエネルギー、核融合への挑戦
「もし、太陽と同じ原理でエネルギーを生み出せたら?」
そんな夢のような話が、現実のものになろうとしています。CO₂を排出せず、燃料も海水から得られる究極のクリーンエネルギー「核融合」。日本政府も2030年代の発電実証を目指し、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を推進するなど、世界中で大きな期待が寄せられています。
しかし、この壮大な夢には大きな壁があります。核融合反応に必要な1億度を超えるプラズマ状態を長時間安定的に保つことが、極めて困難なのです。特に、プラズマが突然消えてしまう「放射崩壊」という現象は、核融合炉実現の大きな課題とされてきました。
そんな難題に、AIの力で挑む企業があります。株式会社Spakonaと自然科学研究機構 核融合科学研究所(NIFS)が共同で、この核融合プラズマの安定化を目指すAI制御技術の実証実験を実施しました。これは、未来のエネルギーを拓く上で、私たちの社会が抱える大きな課題を解決する可能性を秘めた一歩と言えるでしょう。
AIがプラズマの「異変」を予測する
今回の共同研究では、SpakonaのAIエンジニアとNIFSの核融合研究者が手を取り合い、放射崩壊の発生をAIで予測し、制御する技術の実証実験を行いました。

研究チームは、NIFSが保有する大型ヘリカル装置(LHD)の膨大な実験データベースを基に、プラズマの状態を監視するAIモデルを開発。電子温度や電子密度、不純物発光強度といったリアルタイムのセンサーデータを分析し、放射崩壊の兆候を事前に予測できるよう学習させました。そして、AIが予測した際には、自動で粒子供給や加熱パワーに関する制御信号を発信し、プラズマを安定化させる仕組みを構築したのです。
驚くべき迅速な実装と期待されるメリット
このAIモデルのLHDへの実装は、わずか1週間程度で完了したというから驚きです。これは、NIFSが長年培ってきた汎用性の高い制御系・通信基盤と、Spakonaの柔軟なAI技術が融合した結果と言えるでしょう。研究機関の知見とAI企業の技術力が、まさに化学反応を起こした事例です。
導入後のメリット
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生産性向上とコスト削減: プラズマの不安定化を未然に防ぐことで、実験の失敗や装置への負荷を減らし、より効率的な研究・開発サイクルを実現できます。これは、将来的な核融合発電の安定稼働にも直結し、運転コストの削減にも繋がるでしょう。
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競争力強化: AIによる高度なプラズマ制御は、日本の核融合技術の国際競争力を大きく高める要素となります。
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外注費削減と新たな人材育成: 将来的には、AIが熟練のオペレーターに代わって核融合炉の運転を担う可能性も秘めています。これは、高度な専門知識を持つ人材の確保という課題に対し、新たな解決策を提示するものです。また、AIエンジニアが先端科学分野に参入し、研究開発を加速させる好事例でもあり、分野横断的な人材育成にも繋がります。
スタートアップが学ぶべきこと:異分野連携と社会課題解決へのインパクト
今回の実証実験は、特にスタートアップ企業にとって多くの示唆を与えてくれます。
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社会課題へのAIの適用: 核融合エネルギーという人類共通の大きな課題に対し、AI技術が具体的にどう貢献できるかを示しました。自社のAI技術を、未開拓の、しかし社会的なインパクトの大きい領域に適用する視点を持つことの重要性。
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既存インフラの活用: NIFSが長年整備してきたデータベースやハードウェア基盤の上に、SpakonaのAI技術を組み込むことで、短期間での実証実験を実現しました。ゼロから全てを構築するのではなく、既存の優れたリソースをいかに活用し、自社の強みと融合させるかが、スタートアップの成長を加速させる鍵となります。
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迅速な実装力と柔軟な設計: わずか1週間での実装は、SpakonaのAI技術とNIFSの基盤が、いかに柔軟で統合しやすい設計思想を持っていたかを物語ります。アジャイルな開発と、変化に対応できるシステム設計は、スピードが求められる現代において不可欠です。
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分野横断的な協力の価値: AIエンジニアと核融合研究者という、異なる専門分野のプロフェッショナルが密に連携することで、単独では成し得なかった成果を生み出しました。異文化・異分野間のコミュニケーションと協力体制の構築は、イノベーション創出の強力な原動力となります。
今後の展望:AIが拓く核融合の未来
詳細な解析はこれからですが、今回の実証実験はAI技術が核融合炉運転に有効である可能性を世界に示しました。NIFSの横山雅之教授は「大学院生が構築していた実験データベースの共有が重要であったとともに、核融合実験データのとてもよいユースケースとなった」と語り、産学連携の意義を強調しています。

釼持尚輝准教授も「長年にわたり先人が整えてきた実験データベースや制御基盤が存在し、その成熟した環境の上に最新のAI技術を重ね合わせることができたからにほかなりません」と、これまでの研究蓄積とAI技術の融合に手応えを感じています。

Spakonaの河﨑太郎代表取締役は、「AIが単なる解析ツールではなく、核融合炉の“運転者”として機能し得ることを示していく上での重要な一歩だと考えています」と述べ、AIのさらなる可能性に意欲を見せています。

今後、AIの判断根拠の可視化や制御アルゴリズムの高度化が進めば、より複雑な運転条件にも対応できるようになるでしょう。核融合分野だけでなく、極めて複雑な現象の制御や最適化が求められるあらゆる領域に、AIが科学と工学の境界を越えて研究開発を支える未来がきっと訪れるでしょう。
まとめ:AIが加速させる未来のエネルギー革命
今回のSpakonaとNIFSによる共同実証実験は、AIが人類の夢である核融合エネルギーの実現を大きく加速させる可能性を示しました。
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AIによる課題解決: プラズマの不安定化という長年の課題に対し、AIが予測・制御という具体的な解決策を提示しました。
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産学連携の成功モデル: 研究機関の深い知見と、スタートアップの迅速なAI技術が融合することで、短期間で大きな成果を生み出せることを証明しました。
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ビジネスへの応用可能性: 今回の技術は、核融合だけでなく、製造業のプロセス最適化、インフラ設備の予知保全、医療診断など、複雑なデータ分析とリアルタイム制御が求められる様々な産業分野に応用できる可能性を秘めています。これにより、多くの企業で生産性向上やコスト削減、ひいては競争力強化に繋がることが期待されます。
AIが「運転者」となり、人類が抱えるエネルギー問題、ひいては地球規模の課題解決に貢献する日が、もうそこまで来ているのかもしれません。この革新的な取り組みが、日本の、そして世界の未来を明るく照らすことを心から願っています。
株式会社Spakona 会社概要
最先端AI技術のコンサルティング・開発・保守を一貫して行っています。画像処理や3次元処理、数理最適化など幅広いAI技術を有し、企業課題に最も効果を発揮するAI技術の選定が可能です。トヨタ自動車株式会社やアート引越センター株式会社など、大手企業との協業実績も豊富です。
名称 :株式会社Spakona
所在地 :東京都渋谷区東2-17-11 東SSビル6階
代表者 :代表取締役社長 河﨑 太郎
創業日 :2020年8月7日
事業内容:法人向けソフトウェアサービスの企画・開発・運営
会社HP:https://spakona.co.jp/
Wantedly:https://www.wantedly.com/companies/company_8904649
